事務所ブログ

2015.07.16更新

東京地裁平成26年12月3日判決は、大学ラグビー部の試合に出場中、対戦校の選手から危険なタックルを受けて引き倒され,頭から地面に激突し,頸髄損傷による重度の後遺障害を負ったケースについて、危険なタックルをした対戦校の選手に対し、9706万4528円(及び民法所定の利息)の支払を命じました。
判決は、過失相殺の規定である民法722条2項の趣旨を類推するという手法により、損害の6割を被告に負担させることにしています。すなわち、賠償額を4割を減額させています。スポーツの中での出来事であり、100対0の解決が妥当でないということです。
スポーツには怪我がつきものとはいえ、訴訟でこのような高額の賠償が認められる可能性があることを考えると、ラフプレーなどは控えるべきでしょうね。

<判決の抜粋>
「ラグビーの試合中のある選手のプレーにより他の選手が通常生ずる範囲を超えて負傷した場合,被告が主張するように,故意又は重過失によるものでない限り,そのプレーは社会的相当性の範囲内の行為として違法性が完全に否定され,当該選手は,不法行為責任を負わないとすることは極端に過ぎ,相当ではないが,他方,ラグビーという競技自体に事故発生の危険が当然に想定され,ラグビーの試合に出場する選手は,その危険を一定程度引き受けた上で,試合に出場しているということ及び選手には試合に安全に参加できるよう身体的かつ技術的に準備する責任があること(競技規則序文)も勘案すれば,発生した損害の全部を加害者たる選手に賠償させるのは,損害の公平な分担を図る損害賠償法の理念に反するものといわざるを得ず,このような場合,民法722条2項の趣旨を類推して損害賠償額を定めるのが相当であると解される」
「そこで,本件について検討するに,原告X1は,自らの意思で,大学でラグビー部に入り,大学2年生以来ほぼ毎年試合に出場していた(原告X1本人,弁論の全趣旨)のであるから,自ら一定の危険を引き受けた上で本件試合に出場していたといえること,被告に過失が認められるのは,上記認定のとおりであるものの,被告が試合の展開と関係なく,故意をもって原告X1を負傷させたことまでの事情は認められず,まさに試合の流れの中で,不幸にも重大な事故が発生したものであると評価されること,ボールが他方向に転がって離れていったにもかかわらず,被告は危険な姿勢にある原告X1の襟首又は胸あたりを掴んで引っ張り,原告X1もとっさに両手等で受け身の態勢をとることなく,頭から地面に落下してしまったものであって,両者の動作ともやや未熟であった感は否めないこと等が認められるのであり,これらの一切の事情を勘案し,民法722条2項の趣旨を類推して,被告には,原告X1に生じた損害の6割を負担させるのが相当であると解される。」

投稿者: 関川法律事務所

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