事務所ブログ

2013.05.31更新

自分の財産をある相続人に相続させたくないときは、その者を推定相続人から廃除することで可能となります(民法892条~895条)。

遺言を用いる方法もありますが、その相続人が兄弟姉妹以外の相続人であった場合(親、子、妻、夫など)、遺留分という相続権があるため、全く相続させないという結論を実現できないのが通常です。

そこで、生前に推定相続人から廃除することを家庭裁判所に請求するか、遺言で推定相続人から廃除する意思表示をすることを検討することになります。
ただし、注意しなければならないのは、推定相続人から廃除が可能となるのは、遺留分を有する推定相続人が「被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったとき」に限られることです。
何の非もない相続人を廃除することができないのです。
また、家庭裁判所の審判を経る必要があります。

夫婦間であれば、離婚さえ成立すれば相互に相続権はなくなるのですが、離婚には長期間を要することがあります。
審判例では、末期癌で自宅療養中の妻に対して日常的に嫌がらせや暴言を繰り返した夫について、妻が生前に遺言書で廃除の意思を表明していたところ、夫を推定相続人から廃除することを認めた例があります。
釧路家裁北見支部平成17年1月26日審判です。
この事案では、妻が別居後に離婚を求めて、調停・訴訟を経ていたものの、その訴訟終結前に亡くなってしまったため、推定相続人から廃除によらなければ夫が相続することが可能となってしまう案件でした。そのため、遺言執行者であった弁護士が妻の死後に夫を推定相続人から廃除すべく家庭裁判所に審判を申し立てたようです。

夫に相続させない、または、妻に相続させないためには、有効な手段です。

なかなか文献上は審判例が多くはないようですが、他に、大阪家裁昭和41年1月25日審判などがあります(不貞行為をして家を出た妻を廃除したもの)。

投稿者: 関川法律事務所

2013.05.20更新

弁護士向けの専門書・雑誌では、裁判所がどのようなことを考慮して親権(離婚前では監護権)を決めているかを示すものがありますが、離婚後、どのような経過を辿っていくかを調査した文献はあまりないと思います(少なくとも、私は見たことがありません)。

別居後の夫婦において、幼少の子の引渡しをめぐってさんざん争った結果、夫を監護者に指定した審判がありました。
大阪での話です。
妻は子どもを自宅に残したまま、追い出されたため、裁判期間中は夫が子どもを監護している状態でした。
双方に弁護士が代理人に就きました。
私は妻側の代理人でしたが、夫は仕事を抱え、心の病もあったので、とてもではないが幼少の子を養育できるはずはないと考えていました。同居期間中、子の監護は専業主婦であった妻に任せっきりでしたので。
しかし、家庭裁判所調査官との面談では、夫は立派に子育てができているかのごとく振る舞い、アピール。
結局、子どもが夫のもとで安定して生活していることを重視した調査官が夫を監護者とすべきとする意見を報告書に記載しました。

このような報告書が作成された以上、裁判所もこれに従い、妻側の申立を却下。
その後の離婚調停でも泣く泣く、妻は親権を諦めました。
裁判所からすれば、これで手続が終わったことになりますので、その後の経過などは関知しません。

実際はどうなったか。
夫は離婚して数ヶ月後、妻に電話をかけ、
「やっぱり自分では子どもの面倒を見れない。子どもを引き取って欲しい。」
と懇願してきました。
妻からすれば最高の結論に至ったわけですが、あの審判は何だったのだろうと言いたいところです。

そもそも、子どもと両親の人生を決める重大な判断を、家庭裁判所調査官が2,3回当事者に面談しただけで決めてしまう現行制度には無理があるのだと思います。


投稿者: 関川法律事務所

2013.05.15更新

紛争の相手方に慰謝料を支払わせるために、当事者の合意があれば、公正証書が作成されることがあります。
公正証書で強制執行を受諾する文言があれば、訴訟を提起して判決を得なくても、裁判所に強制執行を申し立てることができます。
もっとも、世間一般では、そのような知識もないまま、何となく、「公正証書を作成しておけば強力な効果があるのではないか」と思って作成している人が多いように思います。
確かに、公正証書は、公証人が双方の身元確認をし、合意内容に間違いがないかを確認した上で作成されるので、信頼度が高い文書です。
大阪にも複数の公証役場がありますので、お近くの公証役場を調べて利用してみるのも一つです。弁護士が文案の作成を依頼されることも多いです。

ところが、相手を脅して作成した公正証書が強迫(脅迫)による取消しによって無効とされた裁判例があります。
千葉地裁佐倉支部平成22年7月28日判決は、元妻と不貞行為に及んだ男性を長期間にわたって脅したうえで、2940万円(3000万円から既払金60万円を差し引いた金額)を支払うことを約束させた公正証書は、公証人に確認されているものの、それまでの強迫状態から脱したといえず、強迫に基づく取消によって無効としました。

公正証書の作成は公証役場で公証人の面前でなされるので、その場で強迫はなかったはずですが、それまでの強迫による影響を認めたものです。それにしても、3000万円もの慰謝料は法外です。公証人は何とも思わなかったのでしょうか。

離婚の場合でも、妻が夫に対して公正証書の作成を強硬に求め、法外な慰謝料の支払を約束させるケースの相談を受けることがありますが、強迫があれば取り消しうることを意識しておかなければなりません。

投稿者: 関川法律事務所

2013.05.02更新

家庭裁判所では、離婚前の別居期間中における子の監護者、離婚時における親権者を判断するにあたり、多くの場合、調査官が関係者との面談による調査を行います。そして、裁判官は概ねその調査報告書の意見に沿った判断を下します。

子の監護者、親権者を父母のどちらにするかを判断するにあたり、複数の判断基準があるのですが、そのうちの一つに「母性優先の原則」というものがあります。この「母性優先の原則」について、以前は「母親優先の原則」と同じ意味に解されることも多く、子どもが幼児であれば、母親のもとで育てられるべきであると考えられがちでした。
現在でも、調停であれば、家庭裁判所調停委員は同様の意見を述べて父親に譲歩を迫ることが多いです。

しかし、現在では、母性を持つのは母親に限らないと考えられています。
母親でも母性に欠ける場合がある一方、父親でも母性を有することもあると。

最近、大阪を始めとする近畿圏の裁判所で子の引渡しをめぐる審判事件を受任する機会が少なからずありましたが、3歳~4歳の幼児について、調査官が、母親が母親であるとの理由のみで監護者に相応しいとの意見を述べたケースはありませんでした。

その意味では、父母は親として平等であり、実質面で判断がなされているのが現実です。

弁護士としても時代の変化に適合しなければならないことを痛感します。


投稿者: 関川法律事務所

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