事務所ブログ

2013.06.26更新

夫(妻)が行方不明になってから何年も経過しているケースでの離婚をするためには、どのように手続が必要か。
離婚事件は調停前置主義がとられているので、まずは調停を申し立てなければなりません。
しかし、行方不明の相手方との間で調停が成立することはないでしょうから、不成立となる(申立書副本の送達が困難なケースも多いでしょう)。
その後、訴訟を提起するわけですが、あらゆる住所を調べても夫(妻)の居場所が分からない場合は、公示送達という手続によって、送達したものとみなして手続を進めます。
公示送達とは、当事者の住所、居所その他の書類を送達すべき場所が不明の場合に、裁判所の掲示場に一定期間公示の手続を執ることにより、その期間が経過したときは、送達の効力が生ずるものとする制度です。
 
しかし、離婚裁判の場合、裁判所が簡単には公示送達を認めてくれません。通常の民事訴訟よりも厳格です。
例えば、大阪家裁岸和田支部では、住民票上の住所の訪問調査は当然のこととして、夫(妻)の両親、子、兄弟姉妹等に問い合わせをして夫(妻)の居場所を知らないかどうかの確認をとることを要求されました。
このようにして何とか公示送達に漕ぎ着けることができれば、離婚原因があることを主張・立証することによって離婚判決を受けることができます。相手方が何年も行方不明であれば、通常は婚姻を継続し難い重大な事由があるものとして、離婚は認められます。

相手方が争ってこないものの、煩雑な手続となるので、弁護士に依頼しなければ進めにくい手続です。

投稿者: 関川法律事務所

2013.06.19更新

離婚調停をしていると、調停委員から「訴訟にはしない方がお互いのためだから、この辺で譲歩されてはいかがですか?」「訴訟になると大変ですよ。早期解決が望ましいですよ。」と言われ、調停成立に向けた強い働きかけを受けることがあります。
そのため、一方当事者が法的に支払う義務がないのに100万円~200万円を支払って解決するといったことが珍しくありません。
それでは、離婚事件が訴訟になることはそんなに大変なことなのでしょうか。
それは、ケースによるでしょうし、当事者の考えにもよります。


訴訟にせずに調停で終わらせるメリットは次のとおりです。

・訴訟になれば通常10か月~2年はかかるので、調停で終わらせれば早期解決となる。

・早期解決をすることでいち早く次の人生へ向かうことができる。

・婚姻費用の負担が大きい人にとっては早期解決によって金銭の支払が軽減される(未成年者に対する養育費は継続する。)。

・訴訟になると弁護士に依頼せざるを得ないが、その場合、着手金だけでも20万円~30万円の負担が発生する。調停で終われば訴訟に要する費用が生じない。

・訴訟になると書面の提出が中心で進行するが、多くの場合、書面は相手方に対する非難合戦の様相を呈するため、泥仕合となる。

・調停委員の中に、非常に勉強熱心で優秀な調停委員がいる。運良くそのような調停委員に当たれば、法的に言っても妥当な条件での解決がなされる可能性が高まる。ちなみに、都市部だから優秀な人が集まるとは限らない。私の最近の経験では、神戸家裁で当たったある調停委員は知識・人柄ともに申し分のない方だったが、大阪家裁で当たったある調停委員は実務に対する理解度が低く、やたらと間違った方向に誘導し、その誤りを指摘すると怒り出す始末であった。


しかし、問題は、法的には支払う義務がない金銭を支払ってまで調停での解決を図るかどうかです。

訴訟にすることのメリットは次のとおりです。

・法的に金銭を支払う義務があるかどうかを裁判所が判断してくれるので、支払義務がない金銭、支払義務があるかどうか不明な金銭を支払わずに済む。

・事実関係に関する双方の主張に食い違いがあるとき、調停では「事実を判断する手続ではない」と言われて有耶無耶にされてしまうが、訴訟では証拠を提出して立証を尽くし、裁判所の判断を受けることができる。事実関係について白黒をつけたい人は訴訟の方が望ましいことになる。

・調停ではほとんどが夫婦が対面することがなく、相手方の本心が分からないまま終わってしまうことが多いが、訴訟では当事者双方の尋問が行われるのが通常なので、相手方の発言を法廷で直接聞くことができる(ただし、DV案件では裁判所が一定の配慮がなされる)。

・訴訟は調停と異なり、書面の提出が中心となるので、本人はさほど時間をとられない。調停では弁護士に依頼をしていても本人の出頭が求められるのが実際であるが、訴訟では弁護士に委任しておけば、弁護士のみが裁判所に出頭するのが通常なので、本人が裁判所に行くことはほとんどない。よって、時間がかかるといっても、弁護士から裁判の経過報告を聞いたり、書面・書証の写しを資料として受けることが中心であり、調停ほどの心労はない。

・調停委員が必ずしも法律の専門家ではないため、弁護士が就いていない調停であれば、誰の言っていることが正しいのか分からなくなることがある。弁護士が就いていても、弁護士の最新の議論を踏まえた法的主張を調停委員が理解できないこともある。しかし、訴訟では法律の専門家である裁判官が判断を下すので、結論に納得を得やすい。

・調停であれば、調停委員の個性が自分に合わず、不愉快な思いをしながら勧めなければならないことがある。たまたま担当することになった調停委員との相性の悪さから、調停に対する不信感・嫌悪感を抱く人が少なくないですが、訴訟であればそのような思いをすることはほとんどない。

・調停では、「成立するんだったら多少不公平な解決でもいい」と思っているのではないかと疑いたくなるような調停委員がいる。そのため、早期解決という名のもとに一方当事者が不当な条件で解決を強いられることがある。訴訟になれば、法的に理由がある条件で解決がなされる。



以上、非常に悩ましい問題ですが、訴訟するか否かの判断にあたっては、考慮すべき点は多数あるのです。











投稿者: 関川法律事務所

2013.06.13更新

別居中の夫婦において、妻から夫に対して別居中における生活費を請求することがあります。
このような請求を婚姻費用分担請求といいます。
請求できる金額は双方の収入状況や未成年の子どもの有無・人数によって変わってきます。
養育費が子どもの生活費のみを対象としているのに対し、婚姻費用は子どものみならず配偶者の生活費も対象としているので、離婚後の養育費よりも金額は高額となるのが通常です。
弁護士として離婚調停の代理人となったときに、離婚よりも婚姻費用の金額で時間をとられることも少なくありません。

それでは、妻が夫以外の男性と不貞行為(浮気)に至り、そのことが原因で別居となった場合、婚姻費用はどうなるか。
これが、有責配偶者からの婚姻費用分担請求の問題です。
この点、不貞行為については離婚時における慰謝料で解決すべきであって、現に日々の生活に必要な婚姻費用を減額すべきではないとの考え方もあり得るでしょう。
しかし、自らの不貞行為で別居の原因を作った妻が夫に対して婚姻費用を請求するのは極めて不当です。
したがって、家庭裁判所においても、「信義則」「権利の濫用」を理由として、このような有責配偶者からの婚姻費用分担請求は認められないか、あるいは減額されるのが通常です。

家庭裁判月報第62巻第11号には、このような事例における審判例が紹介されていますが、いずれも婚姻費用が認められないか、あるいは減額されたものばかりです。

・福岡高裁宮崎支部H17.3.15決定
 信義則を理由に、妻からの婚姻費用を認めず。

・神戸家裁尼崎支部H17.12.27審判
 信義則を理由に、妻の生活費部分は認めず、妻が監護する未成熟子2人の生活費部分のみを認めた。

・東京家裁H20.7.31審判
 妻の生活費部分の請求は権利の濫用にあたるとして、妻と同居する未成年者の生活費部分のみを認めた。

・大阪高裁H20.9.18決定
 信義則を理由に、妻の生活費部分は認めず、未成熟子の養育費相当分のみを認めた。


投稿者: 関川法律事務所

2013.06.07更新

実務上、モラルハラスメント(モラハラ)という言葉を用いるのは、ほとんどが妻側です。

私も離婚裁判で妻側の依頼を受けることも多いですが、夫側の言動が目にあまるケースは少なくありません。
怒鳴りながら、物を壁に投げつける。
不機嫌になって無視をする。
自分の価値観を妻に押しつけ、妻をなじる。
これらは、身体的暴力を伴わないため、これまでの実務では慰謝料が認められがたく、認められても少額になると思われます。
しかし、毎日顔を合わせる夫からこのような態度をとられ続けることの苦痛は、ひょっとすると1~2回暴力をふるわれるよりも大きいかも知れません。

しかしながら、他方において、妻側の言動で夫が苦痛が受けるケースも少なくありません。
「稼ぎが悪い」「残業が多いのは無能な証拠だ」「子どもの成績が悪いのはあなたに似たせいだ」「加齢臭がきつい」など。
これらについてもモラルハラスメント(モラハラ)の概念に当てはまってもおかしくないのでしょうが、弁護士として、そのようなことを言う男性にお目にかかったことはありませんし、これで慰謝料請求をしたいと言う男性にもお目にかかったことがありません。
実際には、妻側のヒステリックな言動で精神的に疲弊した夫は多いのですが。

モラルハラスメント(モラハラ)を世に浸透させるのであれば、男女間の不公平さをなくすべきではないかと思います。



投稿者: 関川法律事務所

2013.06.06更新

近年、モラルハラスメント(モラハラ)という言葉が浸透しつつあります。
弁護士が著書やホームページで紹介しているケースも多いです。

Wikipediaによると、
「フランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌが提唱した言葉。外傷等が残るため顕在化しやすい肉体的な暴力と違い、言葉や態度等によって行われる精神的な暴力は、見えづらいため長い間潜在的な物として存在していたが、イルゴイエンヌの提唱により知られるようになった。イルゴイエンヌは、社会は精神的な暴力に対しては対応が甘いが、精神的な暴力は肉体的な暴力と同じ程度に、場合によっては肉体的な暴力以上に人を傷つけるもので、犯罪であると述べる。」
と説明されている。

夫の言動について述べるケースが圧倒的に多く、女性がモラルハラスメントの紹介例を見て、
「うちの夫と全く同じだ!」と頷いていることが多いと思います。

では、離婚をめぐる裁判実務でモラルハラスメントはどのように扱われているか。
モラルハラスメントの定義を述べた裁判例は私が知る限りでは見あたりませんし、
モラルハラスメントに該当するから直ちに離婚を認めるという裁判例も見あたりません。
要するに、モラルハラスメントといっても、未だ、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかを判断するための一つの事情に過ぎないのが実情です。

ましてや、慰謝料まで認めるというのは、難しいのではないでしょうか。




投稿者: 関川法律事務所

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