事務所ブログ

2014.02.21更新

当事務所は医療過誤訴訟を扱う関係上、美容整形の施術をめぐる相談を受けることも少なくありません。

東京地裁平成25年2月7日判決は、脂肪注入術による豊胸手術の効果について、被告医院の電話での事前説明に不適切な点がある場合、手術当日における説明が適切に行われたとしても、その時点でのキャンセル料が100%であるとのシステムを採用している下では、説明義務違反と評価されるべきであるとされた事例です。

もともとインプラント(シリコンバッグ)で豊胸していた方が、インプラントを抜いて脂肪注入で豊胸をやり直そうとしたケースです。
患者さんは、甲状腺癌が疑われたため、精密検査をすることになったのですが、豊胸手術をしていたことを家族に知られたくなかった。シリコンバッグだとレントゲンに写ってしまうと思い、レントゲンで写らない脂肪注入に切り替えようとしたようです。

要するに、当日キャンセル料が100%なのに、その当日になって初めて十分な説明を受けたとしても、患者からすれば高額なキャンセル料を考えるともはや後戻りできない。だから、その段階に至るまでに十分な説明がなされなければならなかったということです。

ちなみに、請求額が1047万0861円であったのに対し、認容額は295万8565円
認容額の内訳は、
①手術費用:239万0370円
②医療費等(術後の他院での検査・診療):1万8195円
③慰謝料:30万円
④弁護士費用:25万円
でした。
慰謝料が500万円の請求に対して30万円しか認められていないことが大きいですね。
また、再度インプラント(シリコンバッグ)の再挿入で豊胸するための手術費用は認められていません。

美容整形にあたっては、医師も患者に対して術前にリスクなどを十分に説明しないことが多いようです。
病気を理由にする手術であれば、リスクがあっても病気を治すために必要な場合があり、患者も手術に同意するでしょう。
でも、美容整形はしないでも生きていく上で困らないのが通常です。
医師がリスクや失敗例の説明をすればするほど患者は手術をしない。
だから、医師もリスクや最悪の場合の説明を怠りがちです。

今回の裁判例では、判決において、
「医師は,手術を実施するに当たっては,患者が,当該手術を受けるか否かの意思決定を十分な情報に基づきできるように,実施予定の手術の内容,期待される効果,手術に付随する危険性,他に選択可能な治療方法などについて説明すべき義務があると解され,本件で原告が被告の説明義務として指摘する点(注入した脂肪の生着率,採取できる脂肪量,本件手術による豊胸効果,脂肪吸引部の醜状痕,注入脂肪の腫瘤化や石灰化)は,いずれもこれら説明義務の内容を構成するものである。」
と述べています。

私が相談を受けた例では、クリニックが、どの手術でも使い回しているような同意書を用意し、しかも、その同意書には細かい字で敷き詰められており、読む気も起こらない内容。しかし、患者が受ける予定の手術について、その手術を受けるかどうかに必要な情報は一切なし。形式だけ整えている感じでした。

美容整形に関する裁判例を蓄積することで悪質な手術を撲滅していけるのではないかと思います。









投稿者: 関川法律事務所

関川法律事務所 法律相談受付時間 平日9:30~21:00 お電話はこちら 06-6121-2931
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