事務所ブログ

2014.12.15更新

東京家庭裁判所八王子支部・平成21年1月22日審判は,妻が子どもを連れて出ていった別居事案において,夫からの子の引渡し申立を認容したものです。

審判は,相手方(妻)と未成年者(子)との関係が良好であること,未成年者は,まだ7歳であり,安定的に母子関係を形成することが重要であること,仮に,未成年者が申立人(夫)宅に居住することになると,転校を余儀なくされ,学校生活の継続性が失われることを認めるものの,

①相手方は,申立人と婚姻生活中,ほぼ専業主婦として未成年者を監護養育していたものの,幼稚園の迎えについては,延長保育や第三者に依頼するなどしたことが度々であった。
②また,相手方は,未成年者が幼稚園で精神的に不安定な状態となった際にも十分な対応をしていない。相手方は,当時,申立人との夫婦関係が悪化し,実母の入院,死亡等の事情があったが,これらを十分に考慮しても,相手方の未成年者の従前の監護養育状況に問題がなかったとはいえない。
③相手方は,現在,未成年者の学童保育の終了時間に合わせて帰宅しているが,相手方のこれまでの監護状況や現在の就業形態からすると,平日及び休日未成年者を身近に置いて十全に監護できる状況にあるとはいえない。また,相手方には,未成年者の監護養育につき援助協力する親類等もいない。
④相手方は,申立人と未成年者とが面接交渉をすることについて反対の意思を有しており,本件申立て以後においても,未成年者の通院等の手続についても申立人の協力を拒むなどした。相手方のかかる態度については,申立人と未成年者との交流を妨げる結果となっており,未成年者が社会性を拡大し,男性性を取得するなどの健全な発育ないし成長に対する不安定要素となっている。
⑤申立人は,従前,未成年者の監護に関与しなかったわけではなく,未成年者との関係については問題はないこと,実母ほか監護補助者の協力を得て未成年者を十分に監護養育する環境を整えていることが認められる。
といった点を考慮し,

「現在の監護環境の変更に伴って生じる未成年者の負担を鑑みてもなお,相手方を未成年者の監護者と指定し,相手方において引き続き未成年者の監護養育を行うことよりも,未成年者の監護者については,申立人と定めてその下において養育させるのが未成年者の福祉にかなうものと認められる」
と判断しました。

この事案では,妻が夫と別居する以前に他の男性と交際しており,同じ頃,夫が仕事で不在のときに妻が深夜に子どもを自宅に置いたまま外出して家を空け,子どもが妻を捜して近所を徘徊し、警察に保護されたことがありました。
このようなことを1度でもやってしまうと,裁判所としては妻の監護に著しい問題があると容赦なく判断します。

いわゆる継続性の原則を絶対視せず、子の福祉の観点から妥当な判断をしたものではないでしょうか。

投稿者: 関川法律事務所

2014.12.09更新

前橋家庭裁判所太田支部・平成24年8月9日審判です。審判前の保全処分です。
別居後の面会交流で子どもを預かった父親が、子どもを母親のもとに返すことを拒否した事案ですが、「連れ去りにに等しい状況」などと述べ、母親に対する子の引渡しを命じています。

「上記認定事実によれば、未成年者の主たる監護者は、生後一貫して申立人であり申立人が殆ど未成年者を養育してきたこと、別居期間中の監護者について申立人とすることが申立人及び相手方間で了解されたこと、未成年者を相手方が申立人から預かったのは面会交流のためであったこと、しかるに相手方は面会交流の目的が終了した後も、未成年者を返すことを拒んでおり、連れ去りに等しい状況にあること、未成年者が四歳と幼く母親による養育を必要としており申立人のもとで養育することが未成年者の福祉にかなうこと、相手方は三交代制の勤務をしているため未成年者を監護養育することは困難であることが認められ、上記面会交流以前に申立人による未成年者の養育に不都合があったことや、未成年者を申立人に返すことにより未成年者の健康が損なわれたり未成年者の福祉に反することをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠はない。なお、相手方は未成年者が相手方との生活を望んでいると主張するが、未成年者は四歳と幼くその言動は周囲に影響を受け、自立した自由意思での発言と認めることは困難であり、その言動のみをもって上記認定判断を覆すのは未成年者の福祉の見地からして相当でない。
 また、上記認定事実によれば、未成年者の福祉のため、未成年者を申立人に引き渡す緊急の必要が認められる。
 したがって、相手方は申立人に対し、未成年者を仮に引き渡すべきものである。」

投稿者: 関川法律事務所

2014.11.18更新

『子どもの連れ去り問題』 コリン・P・A・ジョーンズ(平凡社新書)という書籍は、現在の家庭裁判所実務の問題点を見事についた名著であると思います。

「概して母親の問題行動に関する情報については、裁判所は〝見ざる、聞かざる〟という態度をとることが多いのに対して、父親の問題行動には飛びつく傾向が強いようだ」(p134)。

「例えば、妻が子どもを実家に連れ去ることで始まる離婚調停の場合、調査官が行うのは、妻の実家を訪問し、子どもとちょっと会って話をし(年齢によって、どちらの親と住みたいか意向を尋ねる)、今の生活環境に問題はないか確認する程度の調査である。これで母親が監護者・親権者になることが実質的に確定するのである」(p90)。

「もちろん、調査官のなかには学者並みの児童心理学の知識を身につけている人もいるが、いくらそうでも、たった1回、三〇分か一時間程度会っただけで、他人の子どもの人生について大きな決定をするに足る情状を把握できるとは、どう考えても無理がある」(同)。

「プロの調査官なら、一時間程度の調査でも、子どもが必ず発信してくる事件解決に有効なサインをキャッチできるものだ、というのである。しかし、本当に子どもがそこまで裁判所にとって都合のいい行動をするものかどうか、当事者ならずとも疑問に思うだろう」(p93)。

以上は、ほんの一部分を紹介した過ぎませんが、ここまで適格な指摘をしてくれる著書にはなかなかめぐりあえません。
ただし、著者が問題視する裁判所の考え、風潮について、裁判所は問題とは思っていないと思われます。
現行の制度及び判断手法が正しいということを「信仰」といえるほどにまで信じている気がします。
いつになったら気付いてくれるのでしょうか。



投稿者: 関川法律事務所

2014.10.07更新

ドイツ民法(BGB)では、離婚の要件について、以下のように定めています。

1565条
(1)婚姻は、それが破綻したとき離婚することができる。婚姻は、夫婦の生活共同体がもはや存在せず、また夫婦が生活共同体を修復することを期待できないときに、婚姻は破綻している。
(2)夫婦がなお1年に満たない別居生活をしているとき、婚姻の継続が、他方配偶者の人柄に存する理由から、申立人にとって要求できないほど過酷であるときにのみ、離婚できる。

1566条
(1)夫婦が1年間別居しており、かつ、夫婦双方が離婚の申立てをするか、もしくは、申立ての相手方が離婚に同意するときには、婚姻が破綻していることが争う余地なく推測される。
(2)夫婦が3年間別居しているときには、婚姻が破綻していることが争う余地なく推測される。

日本の民法では「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」の一言で片付けられ、裁判官の判断に委ねられている部分について、ドイツ法では明確な基準が設けられています。
特に、3年間の別居で「婚姻関係の破綻が争う余地なく推測される」とする規定は、これがあるとないとで大違いです。
日本では、3年間別居をしており、訴訟手続にまで至った夫婦についても、裁判官が「修復の余地がある」と平気で判断してきます。もちろん、破綻を認めるケースもありますが、3年程度の別居であれば、どの裁判官に当たるかによって判断がバラバラになるという実情があり、極めて不公平に思えます。

離婚事件の分野においては、規定の仕方が抽象的であり、また、規定すらないまま実務で認められている分野もあります。
離婚に関する規定も抜本的に見直されなければ、困るのは市民の皆さんです。


投稿者: 関川法律事務所

2014.08.27更新

先日、生活保護受給者の依頼を受けて、元ご主人に対して養育費を請求する調停を申し立てたところ、調停委員より、「市役所から言われたから形式的に申し立てたというわけではないですね?」と何度も尋ねられました。
市役所から言われて渋々養育費を求める調停を起こす例が多いのでしょうか。

投稿者: 関川法律事務所

2014.08.16更新

起訴前に続き、起訴後も接見禁止をつけられた被告人について、保釈請求。
共犯者が複数おり、一部が否認していることから、却下が予想される中、保釈面談で必死のアピールをした結果、8月13日に保釈許可決定。
しかし、検察官がこの決定を不服としてその日の夜に準抗告。
8月14日に準抗告審の裁判官との面談で再び猛アピール。
その結果、検察官の申立ては認められず、保釈許可の結論は維持されました。
8月15日に保釈保証金を関係者からかき集め、裁判所に納付し、同日夕方、被告人は留置場から釈放されました。
あまり詳しいことは書けませんが、奇跡の保釈でした。


ということで、今年のお盆は保釈をめぐるせめぎ合いで終わりました。

投稿者: 関川法律事務所

2014.07.31更新

以下のリンクはフジテレビのニュースでの特集です。
http://vimeo.com/48223036

多少、用語の使い方に誤りがありますが、現実を直視した報道です。
夫が仕事でいない間に妻が子を連れ去り、その後の裁判において、「継続性の原則」を理由に裁判所が易々と妻を監護者・親権者に指定する現実。
子どもへの虐待でもない限りは、家事もまともにできず、浮気をするような妻でも、「継続性の原則」を理由に親権者となれるのです。夫の方がはるかに子育てにおいて適任であるケースであっても、子どもを先に確保した妻が勝つのです。
このような「連れ去り得」を助長しているのは、他ならぬ裁判官なのです。

そもそも、連れ去り別居をした段階で、子どもたちはそれまでの生活環境から変化を強いられているのです。
それを、もとの環境に戻すことが、子にとって悪影響といえるのでしょうか。

連れ去り別居によって父親と離れ離れにされることの方が子どもにとって悪影響であることは明らかです。
連れ去られている瞬間、子どもたちはどう思っているのでしょうか。
でも、裁判所が連れ去り別居を容認している以上、今後も「連れ去り得」の現実が離婚紛争の常識であり続けるでしょう。
私は、弁護士として、何とかしてその風穴を開けたいと考え、日々、依頼者と共闘している次第です。




投稿者: 関川法律事務所

2014.07.01更新

離婚に関する弁護士選びについて、述べたいと思います。

離婚をめぐる紛争は、例外なく、男と女の戦いです。
当たり前ですが、紛争当事者の半分は男性、もう半分は女性です。
女性は、女性の気持ちが分かる弁護士に依頼したいと思う人が多く、その結果、女性の代理人には女性弁護士が就任するケースが多くなります。しかし、弁護士業界の中で、女性弁護士は男性弁護士よりも圧倒的に少ないのが現状です。
そのため、女性弁護士は、女性からの離婚依頼が多くなるため、取扱事件の大部分を離婚事件で占めていることが少なくないのです。

では、女性が女性弁護士に依頼することのデメリットはないのか。
あくまで私見ですが、女性同士というのは派手にぶつかり合うこともあり、その激しさは男性同士の場合よりも激しいように思います。
ですので、離婚事件において、裁判途中で弁護士が辞任してしまうケースというのは、女性が女性弁護士に依頼したケースが多い印象があります。
女性の中でも、男性弁護士に依頼した方が安心感がある、落ち着く、という人もいるようです。


逆に、弁護士の男女比の現状からして、男性が女性弁護士に離婚事件を依頼するケースは極めて少ないように思います。
ただし、男性が女性弁護士に依頼しているケースで支障があったという話はあまり聞きません。
そうはいっても、男同士でしか分からないことはあり、男性は男性弁護士に依頼したがるのが通常だと思います。


投稿者: 関川法律事務所

2014.04.18更新

夫との離婚に向けて家を出て行き、別居をしている女性は、夫に自分の居場所を知られないようにしている人が少なくありません。
とりわけ、DVを受けた女性は是が非でも自分の居場所を知られないようにしなければなりません。

しかし、ちょっとしたことで居場所が知られることがあります。
それは、ある離婚紛争で私が夫の代理人に就いていたときのことです。
妻は自宅を出て行き、夫がDVをしたとして自分で保護命令を申し立てました。
このとき、申立人の住所として、住民票上の住所である同居時の自宅住所を記載していました。このときの居場所を知られないためです。
ところが、その後、妻側に弁護士が代理人に就き、多数の証拠を提出してきました。
その証拠の中に、保護命令申立後、新たに入手した診断書がありましたが、そこに妻の居場所が住所欄にはっきりと記載されていました。
もっとも、現実には、夫はDVを否定しており、妻の居場所が分かったところで、そこに押しかけることはありませんでした。それでも、妻側の弁護士は青ざめたでしょう。
妻が弁護士に渡したものとはいえ、その診断書がきっかけとして何らかの事件が起こってしまえば、弁護士の責任は免れません。

私自身も、対岸の火事とは思わず、居場所を隠したい依頼者の案件では、提出証拠に住所の記載がないか、一つ一つ注意を払うようにしています。
依頼者の側でも、念のため、「ここに住所が書いてありますけど、消してから裁判所に提出して下さい」と言っておいた方がよいと思います。

投稿者: 関川法律事務所

2014.04.17更新

一定の年月を経過した医療事故について、損害賠償請求をする場合、
消滅時効期間が経過していかどうかに注意を払う必要があります。

この点、不法行為責任(民法709条)に基づく場合の時効期間は、
損害及び加害者を知ってから3年、不法行為時から20年となります。
債務不履行責任(民法416条)に基づく場合の時効期間は、
権利を行使しうるときから10年となります。

これを聞いて、安心するのはまだ早いのです。
医療機関に義務付けられるカルテの保存期間は5年間です。

【医師法】
第二十四条  医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
2  前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。

カルテが廃棄された後では、請求を根拠づける重要な証拠がなくなってしまい、
医療機関の責任追及することが極めて困難になります。
もちろん、全ての医療機関が診療から5年を経過すると直ちにカルテを廃棄するとは限りません。
医療機関によっては、20年以上経過したカルテを保管しているところもあります。
特に、C型肝炎訴訟においては、フィブリノゲンが使用されていた当時のカルテが残っているか否かで結論が180度変わるという現状があります。

いずれにせよ、医師の診察に疑問を感じ、医療過誤の責任を追及することを考えたら、
悠長に構えず、弁護士と相談し、具体的な行動に着手することが必要でしょう。


投稿者: 関川法律事務所

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