事務所ブログ

2014.04.15更新

事務所に相談に来られる方でよくあるのは、「訴訟まではしたくない。何とか交渉で解決したい。」という意見です。
訴訟と聞くと、すごく大ごとになると思い、そこまでしたいとは思わない。
また、交渉でもそれなりの解決ができるとの期待があるのでしょう。
私としては、依頼者の意見は大いに尊重します。
そして、現に交渉でもって紛争を解決することも多いです。
もちろん、明らかに訴訟をすべき場合は、そのように進言します。

訴訟であれば和解しない限り、裁判所が判決をするので、
決めるのは当事者ではなく、当事者が判断を迫られることがありません。
しかし、交渉の場合、解決案を決めるのは当事者の合意です。
なので、「本当はもっと多くの金額を取れるかもしれない」ということが脳裏をかすめながら決断をすることもあります。
その決断に悩む人も多いのです。
交渉は「もしも訴訟になったら、このような判決になるだろう」ということを念頭において進めることが多いですが、
あくまで想定に過ぎず、どこまでいっても現実に訴訟をしないと訴訟をしたときの確定的な結論は分かりません。
だったら、最初から訴訟をした方がいい場合も少なくありません。



投稿者: 関川法律事務所

2014.04.13更新

道路交通法上、歩道は、もともと、歩行者の通行の用に供されるものであって(2条1項2号)、自転車の走行は原則として許されていません(17条1項本文)。例外的に許される場合であっても、運転者は、当該歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、自転車の進行が歩行者の通行を妨げることになるときは、一時停止しなければならない(63条の4第2項)。

この規定ゆえに、歩道上における自転車と歩行者の事故において、歩行者から自転車運行車に対する損害賠償請求がなされた場合、歩行者に過失があってもその過失割合は極めて低くなります。

【さいたま地裁平成23年11月18日判決】
歩行者が左右の安全を確認せずに路地から歩道に進入し、自転車と接触した事案
「・・・このように,原告にも,不注意と評価し得る過失を肯定することができるものの,本件事故における責任の度合いとしては,自転車の運転者である被告による上記の交通法規違反に基礎付けられた過失の程度が格段に大きく,これと比べれば,歩行者である原告の過失の程度は相当に低いものというべきであるから,これを10パーセントと認めるのが相当である。」

投稿者: 関川法律事務所

2014.03.28更新

袴田事件第一審静岡地裁判決には以下のような指摘がありました。このような捜査を経て証拠が獲得されていった事件である以上、かなり慎重な認定がなされるべきでありました。

「すでに述べたように、本件の捜査に当って、捜査官は、被告人を逮捕して以来、専ら被告人から自白を得ようと、極めて長時間に亘り被告に人を取調べ、自白の獲得に汲々として、物的証拠に関する捜査を怠ったため、結局は、「犯行時着用していた衣類」という犯罪に関する重要な部分について、被告人から虚偽の自白を得、これを基にした公訴の提起がなされ、その後、公判の途中、犯罪後一年余も経て、「犯行時着用していた衣類」が、捜査当時発布されていた捜索令状に記載されていた「捜索場所」から、しかも、捜査官の捜査活動とは全く無関係に発見されるという事態を招来したのであった。
 このような本件捜査のあり方は、「実体真実の発見」という見地からはむろん、「適正手続の保障」という見地からも、厳しく批判され、反省されなければならない。本件のごとき事態が二度とくり返されないことを希念する余り敢えてここに付言する。」

投稿者: 関川法律事務所

2014.02.21更新

当事務所は医療過誤訴訟を扱う関係上、美容整形の施術をめぐる相談を受けることも少なくありません。

東京地裁平成25年2月7日判決は、脂肪注入術による豊胸手術の効果について、被告医院の電話での事前説明に不適切な点がある場合、手術当日における説明が適切に行われたとしても、その時点でのキャンセル料が100%であるとのシステムを採用している下では、説明義務違反と評価されるべきであるとされた事例です。

もともとインプラント(シリコンバッグ)で豊胸していた方が、インプラントを抜いて脂肪注入で豊胸をやり直そうとしたケースです。
患者さんは、甲状腺癌が疑われたため、精密検査をすることになったのですが、豊胸手術をしていたことを家族に知られたくなかった。シリコンバッグだとレントゲンに写ってしまうと思い、レントゲンで写らない脂肪注入に切り替えようとしたようです。

要するに、当日キャンセル料が100%なのに、その当日になって初めて十分な説明を受けたとしても、患者からすれば高額なキャンセル料を考えるともはや後戻りできない。だから、その段階に至るまでに十分な説明がなされなければならなかったということです。

ちなみに、請求額が1047万0861円であったのに対し、認容額は295万8565円
認容額の内訳は、
①手術費用:239万0370円
②医療費等(術後の他院での検査・診療):1万8195円
③慰謝料:30万円
④弁護士費用:25万円
でした。
慰謝料が500万円の請求に対して30万円しか認められていないことが大きいですね。
また、再度インプラント(シリコンバッグ)の再挿入で豊胸するための手術費用は認められていません。

美容整形にあたっては、医師も患者に対して術前にリスクなどを十分に説明しないことが多いようです。
病気を理由にする手術であれば、リスクがあっても病気を治すために必要な場合があり、患者も手術に同意するでしょう。
でも、美容整形はしないでも生きていく上で困らないのが通常です。
医師がリスクや失敗例の説明をすればするほど患者は手術をしない。
だから、医師もリスクや最悪の場合の説明を怠りがちです。

今回の裁判例では、判決において、
「医師は,手術を実施するに当たっては,患者が,当該手術を受けるか否かの意思決定を十分な情報に基づきできるように,実施予定の手術の内容,期待される効果,手術に付随する危険性,他に選択可能な治療方法などについて説明すべき義務があると解され,本件で原告が被告の説明義務として指摘する点(注入した脂肪の生着率,採取できる脂肪量,本件手術による豊胸効果,脂肪吸引部の醜状痕,注入脂肪の腫瘤化や石灰化)は,いずれもこれら説明義務の内容を構成するものである。」
と述べています。

私が相談を受けた例では、クリニックが、どの手術でも使い回しているような同意書を用意し、しかも、その同意書には細かい字で敷き詰められており、読む気も起こらない内容。しかし、患者が受ける予定の手術について、その手術を受けるかどうかに必要な情報は一切なし。形式だけ整えている感じでした。

美容整形に関する裁判例を蓄積することで悪質な手術を撲滅していけるのではないかと思います。









投稿者: 関川法律事務所

2014.01.09更新

配偶者が勤務先の同僚と不倫をした場合、会社の責任を追及ができるか。
浮気をされた側からすれば、会社にも責任をとって欲しいという心情になるでしょう。
しかしながら、裁判例を検討してみると、会社の責任を認めた裁判例は見当たりませんでした。
東京地裁平成17年5月30日判決、東京地裁平成15年4月24日判決は、会社に対して民法715条の使用者責任に基づく損害賠償請求につき、いずれも「事業の執行について」の要件に該当しないとして棄却しています。

投稿者: 関川法律事務所

2013.12.11更新

一般の民事訴訟では、第1回口頭弁論期日に答弁書等の書面を提出することなく欠席すると、公示送達という特殊な送達方法による訴訟を除き、被告は原告の主張を争わないものとして判決の基礎とされてしまい(「擬制自白」といいます。)、通常は、原告の請求どおりの判決が言い渡されてしまいます(民事訴訟法159条3項が準用する同条1項)。
つまり、事前に何の書面も提出せずに第1回口頭弁論期日を欠席すると、請求を認容する判決が言い渡されると考えなければなりません。もちろん、このような判決を不服として控訴することはできます。

では、離婚訴訟ではどうか。
離婚訴訟は人事訴訟法に則って進められるのですが、人事訴訟法19条1項において民事訴訟法159条1項の擬制自白の適用がないとされているので、被告が欠席したからといって原告の主張を争わないものとして直ちに判決の基礎とはされません。
その後も被告が欠席を続ければ結審されますが、裁判所は、あくまで、原告が提出した証拠に基づいて判決を下しますので、被告が争わないにもかかわらず原告敗訴ということもありえます。
もちろん、原告は被告が争わない限りは勝訴できるような証拠を提出しておくのが通常ですし、特に、詳細な経緯を記載した陳述書を提出しておけば、裁判所もこれをもとに概ね原告が請求したとおりの判決を言い渡すはずです。
ただし、金銭請求について、認容額は請求どおりとはいかないこともあるでしょう。

投稿者: 関川法律事務所

2013.11.20更新

若年労働者の死亡逸失利益の算定のための基礎収入につき、現実の収入ではなく、平均賃金によるものとすべきとの裁判例です。若年労働者(30歳未満)は低所得者が多いため、平均賃金を基礎収入とするかしないかは逸失利益に大きな影響を与えます。学生の死亡逸失利益の算定に平均賃金を用いることとの均衡が考慮されています。

【東京地裁平成17年11月21日判決】
「本件においては,前記第2の1(1)記載の通り,本件事故発生当時,訴外Bは25歳と若年であったことが認められるから,死亡逸失利益の計算に当たっては,学生との均衡を考慮する必要があり,その基礎収入としては,平成15年賃金センサス女性労働者・学歴計の全年齢平均賃金(349万0300円)を採用するのが相当である。
 また,訴外Bは独身であった(前記第2の1(1)記載)ことから,生活費控除率は30パーセントとするのが相当である。稼働可能年数は42年(ライプニッツ係数17.4232)と認められる。
 そうすると,死亡逸失利益は,次の計算式のとおり,標記金額となる。
    (計算式)
    349万0300円×(1-0.3)×17.4232-4256万8536円
 これに対し,被告は,本件事故前年の訴外Bの給与は134万0277円であったことを指摘の上,訴外Bは自動車修理工場に勤め技術を習得中であったとのことであり,今後数年間は平均賃金を下回る収入が予想されたものであるから,将来的に賃金センサスを用いるとしても,死亡後すぐに賃金センサスを基礎収入として逸失利益を計上することには合理性がない旨主張する。
 確かに,訴外Bは高校卒業後,ペットショップ勤務を経て自動車整備士2級の免許を取得して自動車修理工場で稼働したこと(甲ロ8の3),その後自動車修理工場を解雇され,本件事故直前まで製本工場でアルバイトをしていたこと(甲ロ8の3),本件事故前年の給与は134万0277円であったこと(甲イ1),訴外Bは将来は自動車修理工場を経営したいとの希望を持ち,自動車修理工場に勤務しながら技術の習得に努めていたこと(弁論の全趣旨)が認められるが,他方で,訴外Bは,小学校から高校までの12年間皆勤賞をとったこと(甲ロ8の3及び弁論の全趣旨)に象徴されるとおり,精神的及び肉体的に頑健であったことが窺われ,転職や起業の可能性も十分あり得たものというべきである。そして,そもそも,若年労働者につき,学生との均衡等も考慮して賃金センサスの全年齢平均収入を基礎収入とする趣旨にかんがみれば,本件事故発生当時,技術を習得中であったという事情があったとしても,本件事故後数年間は平均賃金を下回る収入が見込まれていたとして減額するのは相当ではないというべきである。」

投稿者: 関川法律事務所

2013.11.13更新

株式会社である貸金業者からの借入は、途中で時効の中断がないまま弁済期から5年を経過すれば時効消滅します。
分割返済の場合は、期限の
時効の中断とは、時効の進行をゼロカウントに戻すことを意味しますが、民法147条によれば、①請求、②差押え、仮差押え又は仮処分、③承認が時効中断事由にあたります。
①請求とは、ただ単に「払え」と言うだけでは催告にとどまり、そこから6か月以内に裁判上の請求等をしないと時効中断の効力が生じません(民法153条)。なので、貸金業者は時効完成間際になると、時効中断のために訴訟を提起することがあります。裁判所に訴状を提出した時点で時効が中断します。
③承認というのは、債務があることを認めることですが、最も明確な承認は弁済をすることです。いくら「債務者が口頭で債務を認めた」債権者が言っても立証が困難ですが、弁済をすれば証拠上債務承認があきらかです。

では、時効期間経過後に「承認」をしたらどうなるか。
時効完成を知った上で承認をすれば時効利益を放棄したものとされますので、時効を援用できません。
では、時効完成を知らずに債務承認した場合はどうか。
最高裁昭和41年4月20日判決は、時効完成後にそのことを知らずに債務承認した場合、相手方は債務者はもはや時効を援用しないとの期待を抱くから、債務者信義則上時効援用権を喪失するとしました。
要するに、時効完成を知っていようがいまいが、債務承認をしてしまえば時効を援用できず、債務は消滅しないのです。

最近、何年も放置していた借入先から請求が来たという相談が頻繁にあります。
確認してみると、既に時効期間が経過していることが多いです。
その場合、弁護士から内容証明郵便で時効援用の意思表示をすると請求が来なくなるのが通常です。
ところが、時効のことを知らずに一部でも(仮に1,000円でも)支払ってしまえば時効の援用ができなくなります。
そのわずかな弁済が命取りになるのです。
もちろん、もともと返済義務があるものですから、返済するのが当然とも言えますが、時効で消滅したはずの債務が消滅しないというのはあまりに気の毒です。

以前、ある人が、既に時効消滅したかも知れないと思ってテレビCMでおなじみの事務所に電話したところ、事務員が応対し、そのことを知らずに「借りたものは返さないといけないんじゃないですか」と軽率にも返答したため、その人は債権者に支払ってしまい、時効援用権を喪失してしまったということがありました。
最後の返済から5年以上が経過した人は時効の援用ができるかどうか、弁護士に相談してみることが必要かと思います。



投稿者: 関川法律事務所

2013.11.07更新

相続手続において、税理士が登場するのは相続税申告の場面がほとんどでしょう。
その際、遺産分割協議書も税理士が作成するケースが散見されます。
しかしながら、遺産分割をめぐって法律問題が勃発することもあり、税理士に任せておけば大丈夫ということにはなりません。

例えば、相続人の中に成年被後見人がいる場合、成年後見人が遺産分割協議に参加することになりますが、成年後見人には善管注意義務という義務があり、成年被後見人の利益を第一に考えた処理をしなければなりません。
ところが、成年後見人が他の相続人の申し出に易々と応じ、成年被後見人の取り分を少なくし、他の相続人の取り分を多くしてしまうことがあります。このような処理をした成年後見人の処理は善管注意義務違反をということになります。
そのまま何の紛争も生じないことの方が多いでしょうが、問題となるのは、後日、何らかの事情があって成年後見人が交代したときです。後に成年後見人になった者から善管注意義務違反を理由として遺産分割時の成年後見人が損害賠償責任を追及されることがあるのです。
このような問題がはらんでいるにもかかわらず、この点に関する考慮を欠いた税理士作成の遺産分割協議書を見たことがあります。
やはり、税理士は税の専門家ですが、法律の専門家ではありません。
遺産分割には相続税の処理も大切ですが、後の紛争を防ぐためには弁護士に遺産分割協議書作成を依頼するのがベストです。

投稿者: 関川法律事務所

2013.10.18更新

M&Aと言えば、株式会社について言われることが多く、株式譲渡、会社分割、事業譲渡などの方法で企業再編がなされます。

しかし、医療法人の経営多角化により、医療法人のM&Aも盛んに行われています。
大阪の医療法人も例外ではありません。
もっとも、医療法の規定はM&Aの便宜を考慮しているわけではなく、医療法人でM&Aを実行しようとすれば、技巧的な方法によらざるを得ないこともあります。
例えば、株式会社であれば、株式の過半数を取得すれば会社を支配できますが、医療法人では社員総会の決議は出席社員の頭数の過半数で決せられ、出資持分の全額を取得しても、そのことは社員総会決議の帰趨には直結しません。
もちろん、出資持分を有するのが社員であれば、退社の際には出資持分の払戻を求めることができるので、そのことでプレッシャーをかけることで事実上の影響力を当該医療法人に及ぼすことは可能でしょう。
そういうわけで、出資持分の譲渡では医療法人のM&Aは完結しません。
社員の入退者、理事の入替等を駆使しながら、売り手から買い手へ経済的利益を移転させていきます。

ところで、株式会社においては、他の株式会社が株主になることができるのは当然でありますが、医療法人においても株式会社が出資持分を取得することは可能です。ところが、医療法人では株式会社が社員になることはできません。そこで、出資持分を有する株式会社が医療法人存続中に出資持分の払戻を受けることができるのかどうかは、法令上の整備がなされていないため、未知数です。下手をすれば、医療法人が解散するまで出資の払戻を受けられないことも考えられます。

このように、医療法人の運営については、意外と知られていない法整備状況にあるため、M&Aにおいては弁護士の適切なサポートがなければ、思わぬ落とし穴にはまるリスクがあるのです。


投稿者: 関川法律事務所

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